アタシのお年玉。
・・・私が小学校低学年の頃、我が家はすごく貧乏だった。
母子家庭でお母さんとの二人家族。
お父さんからの仕送りはあったと思うけど、お母さんはしょっちゅう入院とかしていたから、まともに働いてはいなかった。
今なら私がバイトとか頑張れるけど、当時は小学生。
なんにもできないし、なんにもわかんなかった。
だから、お正月がすぎた頃にお母さんから『悪いけど、そのお年玉貸してくれない?』て言われた時は、なんか悲しくなった。
たしか2万円くらいあったと思う。
そんなお金、もちろん小学生の私には使いみちなんかないし、はっきりいってとくに買いたい物もなかった。
でも、自分のお金が自分の知らないところに行ってしまうと思うと、なんかすごい悲しくなってしまった。
おじいちゃんやおばあちゃんや大好きなお父さんからもらったお金が私のそばから離れていくんだと思うと、すごくすごく悲しかった。
自分でもよくわからないんだけど、そう思うと急に目から涙があふれだした。
私は泣いてしまった。
泣きながら私がお母さんにお年玉をぜんぶ渡したら、お母さんが『ありがとう。すぐに返すからね・・・』て言ってた。
その夜、私がフツーに寝室で眠っていたら、なんか声が聴こえてきた。
なんだろう?と思って起きたら、お母さんが台所のところで、私に隠れるように誰かと電話してた(その頃はアパート暮らしで寝室兼リビングと台所の2部屋しかなかった)。
相手は田舎のおばあちゃんみたいで、なんか、お金を貸してほしいとか頼んでいた。
泣きながら。
私にお金を借りたことが、お母さん的にも辛かったみたいで『あの子に返したい』とか言ってるのもきこえた。
それきいて、普段はお母さんなんて大キライだったけど、子どもながらになんか、悪い気持ちになって、また泣いてしまった。
まっすぐな子どもだったら、そこでお母さんのところに走って行って一緒に泣いてしまうんだろうけど、私は曲がった子どもだったから、フトンに戻って一人で泣いて過ごした。
そのあと、お金を返してもらったのか、まったく覚えていない。
当時の私にとって大切なことは、お金ではなくて『お母さんを泣かしてしまった』ということだったみたい。
今なら『貸してあげるけど、ちゃんと利子つけて返すんだよ?わかった?』とか言っちゃうけどね。笑
なんか、さっき、バイト先の人とお年玉の話をしていて思い出したから書いてみたよ。
暗い話でごめんなさい。
それじゃあ、またね。