・・・ボンヤリとした暴力とはっきりした夜道。
私が小学2年生の頃には、すでに両親は離婚していて、私とお母さんとの母子家庭生活ははじまっていた。
その時、私のお母さんは昼間は学校関係の仕事をしていて、夕方は病院の事務みたいな仕事をしていた気がする。
だから、私は学校から帰ってくると、ひとりぼっちになってしまっていた。
私は、ひとりはさびしいというかつまらないから、できるだけ近所の友達の家ですごすようにしていた。
お母さんと友達のお母さんとで話しあっていたのかわからないけど、友達のお母さんはアタシが夕飯までいても、なにも言ってこなかったし、お母さんがすごい遅い時は、そのままとめてくれたりもした。
すごく助かったけど、いつもご飯がまずかったから、そこだけはガッカリな感じだった。
フツーなら、お母さんが帰ってきたら、よろこぶはずですが、私はぜんぜんよろこばなかった。
むしろ、イヤがっていたし、怖がっていた。
お母さんのその日の顔の表情を見るまで、心のどこかで不安な気持ちがあって、それでイライラして友達に悪口言ったりしていた(友達ごめんなさい)。
お母さんは不機嫌な時は、変な笑顔で友達のお母さんと話をしていた。
たぶん、他の人にはわからないけど、娘の私にだけわかる、変な笑顔だった。
『どうもありがとうございました~』
て
言って手つないで二人でアパートへ向かう暗い夜道。
お母さんの顔は無表情で何を考えているのかわからない。
なんか、幽霊みたいな不気味な感じがして、子どもながらにこれがたえらなかった。
だから、いっぱい友達のこととか、学校のことを私は話しつづけた。
お母さんは、ただきくだけでずっと無言で、夜の暗闇と無表情な顔がうまく説明できないけれどまざりあっていた。
・・・本当なら近いはずのその道がすごく長く感じた。
子どもの頃を思いだすとすごいひどいことをされた記憶よりも、このアパートまでの夜道が、すごいはっきりとうかぶ。
理由はわかんないけど、ひどいことをされたはずなのに、そういう記憶って、すごいボンヤリしている。
なのに、なんであの帰り道が心というか記憶としてすごい残っているのか不思議だったりする。
・・・。
なんとなくだけど、あの時のお母さんは、かなり疲れきっていたような気がする。
もしかすると、自殺とか、無理心中を考えていたのかもしれないと、今になって考えたりする。
そういった気持ちをまぎらわせる為に、お母さんは私に家に帰るとあんなことをしたの?て思う。
もしそうだったのなら、あれはお母さんにとっては必要な暴力というか虐待だったのかもしれない。
でも、そこからアタシは変わったんだよ?
て
言いたい。
・・・またね。