カラフルな住宅街。
夜の町を歩いていると突然とびだす言葉たち。
楽しかった記憶。
・・・と一緒にいたあの頃。
真っ暗な夜道がカラフルになってチカチカしだす。
外灯のまわりを飛んでいる虫たちがいう。
『今日は幸せな夜』の言葉。
まったくの無音の住宅街に音楽が響きわたる。
私にだけ聴こえる音楽。
たくさんの人があらわれて私に話しかけてくる。
みんな私の友達。
楽しくてなって一緒になって笑いだす。
まるでお祭りみたいな気分。
まるでお正月みたいな気分。
まるで誕生日みたいな気分。
理由もわからず幸せを感じる時間。
どうして急に幸せになるんだろう?なんて、考えない。
考えない。
なんにも考えないで幸せを貪る私。
・・・その時は急にはじまり、急に終わる。
気づくといつものつまらない住宅街。
もうどこにも幸せな面影もカラフルな世界もない。
フツーの住宅街。
幸せをつぶやく虫も楽しい友達もいない。
ここはフツーの住宅街。
無音の住宅街を私は笑いながら歩いていた。
あたりを見渡してから、ゆっくり歩きだす私。
私は大丈夫、て自分に言いながら・・・。
おしまい。