riri_kawaseの世界。

明日もあなたが幸せでありますように・・・。

・・・外国に引っ越したアタシ。

※閲覧注意の話です。暗い話が苦手な人は読まないでください。














私は小学六年生になってすぐ、お母さんと一緒に外国に引っ越した。



その外国の噂をイロイロきいていた私は、ほんの少しだけおびえていたし、イヤがった。



殺人事件があったり、放火があったり、暴走族が土曜日の夜になると走りまわったり、とにかく《最悪な場所》てイメージだったから。



小学四年生の時に転校してきた人がいて、その人がそこ出身だったから、みんなから質問責めにされていたけれど、その人は一言も話さなかったし、自分がそこにいたこともすごいかくしていた。

子どもながらに、あそこに住んでいたことをどうしてかくすんだろう?て不思議に思った。



噂どおりの危険な場所だから?て考えていたから、引っ越してから自分なりに気をつけようと思っていた。



だから、引っ越してから近所の人と話して、けっこういい人ばかりで、逆にビックリした。



ハトにこっそり餌付けしているハトおじさんは一人で住んでるおじさんで、私たちが住むアパートの一つ上の階に住んでいた。

私はフツーに話していたし、とくになんとも思っていなかったけど、私の下の階のチリチリ頭の鼻が尖った魔女みたいなおばさんはロコツに嫌っていて、そのハトおじさんを見かけるたびに『ハトくさいんだよ!!ここは動物飼うの禁止だよ?』て怒鳴ってた。



ハトおじさんは怒鳴られると、ちょっと困った顔して頭ゴシゴシしながらおじぎしていた。



魔女おばさんはハトおじさんにはきびしかったけど、私たちには優しくしてくれた。



たぶん、私の家で猫を飼っていたからだ。



魔女おばさんはハトおじさんに動物禁止とか怒鳴っていたけど、自分のとこは何匹も猫を飼っていて、私的にはハトよりも下からの猫のオシッコの臭いのほうが気になっていた。



でも、言ったらめんどくさそうだったから、私もお母さんも言わないようにしていた。



私の家は母子家庭だったし、上の階のハトおじさんは一人で住んでたし、同じ階のアミちゃんは旦那さんがいない妊婦さんで、そういった人たちがたくさんいる国だった。



魔女おばさんのところは、魔女おばさん以外の家族は外にでないので、何人家族なのかもわかんなかった。



『引っ越してきて驚いた?』



私がお母さんとケンカして、一人、外階段でボンヤリ星とか見ながら座ってたら、話しかけてきたのがアミちゃんだった。



アミちゃんは19才のお姉さんで、いつも右足を引きずるように歩いていた。



妊婦さんですごいキレイな人だったから、どうしてこんな所にいるのか不思議な人だった。



私は『イロイロビックリしたけど、もっとあぶないところだと思っていました』みたいにいった。



そうしたらアミちゃんが『あぶないところ?』ていって意味不明だけど、ちょっと笑ってた。



私もなんとなく笑ってイロイロ話しはじめた。


両親が離婚して母子家庭なこと、ここには家賃が安いから引っ越してきたこと、お母さんよりもお父さんが大好きなこと、イロイロ話した。



『どうして泣いてたの?』





きかれたから、洗濯機でランドセルとか洗ってみたら、洗濯機が動かなくなって叩かれたとか話したら、また笑ってなぐさめてくれた。



アミちゃんも、イロイロ話してくれた。



アミちゃんも母子家庭で、お母さんと二人で暮らしていて、暴力をふるう旦那さんから逃げてきたとかイロイロ話してくれた。



『右足を引きずっているから障害者なの?』





きいたら『うん、障害者』て、あかるくいわれた。



たぶん、旦那さんの暴力が原因だと思ったけど、それはきかないであげた(私、やさしい)。



『昼はあぶなくないけど、夜はあぶないから、家の中に入りな?』





言われたからしかたなく家の中にもどることにした。



夜中とか誰かの怒鳴り声とか悲鳴とか救急車のサイレンの音がよく聞こえたから、たしかに夜はあぶない気がした。



でも、夜のほうが私は好きだった。



昼間は何かたえきれない空気があって、早く夜になってほしいと思っていた。



きっと、アミちゃんもそうだったんだと思う・・・。



つづく。