私を悩ます名画(?)/ただのお絵描き。
昨日お店のラジオを聴いていたら、高校生の頃に片想いしていた人がいまだに夢に現れると話している人がいた。
もう高校を卒業して二十年になるのに、今年も夢に現れてくれたその人は、憧れた当時のままで幸せだと話していました。
きっと脳内で美化されているのかもしれないけど、素敵なお話しだと思いながら聴いていました。
そういうこと、実は私にもあったりします。
私の場合は人ではなくて“絵”だけど。。。
私の実家に昔飾られていた油絵。
それは私の地元(湘南)で画家を目指していた方が描いた小さな風景画。
砂浜から烏帽子岩(えぼしいわ)を眺めたその油絵は、私の実家にあった唯一の絵画だった。
父と離婚した母は、絵から遠ざかるように身辺に絵画を置かなかった。
でも、何度引っ越しても、その油絵だけは必ずそばに置いていた。
家具や電化製品を引っ越しの度にポイポイ捨てるくせに、その油絵だけは捨てないのが不思議だった。
母が子どもの頃に近所に住んでいたお姉さんに描いてもらった油絵は、遠くにちょこっと烏帽子岩が描かれていて、あとは青い海に青い空が広がるだけの殺風景な風景画。
よくみると、空に小さなシルエットがある。
きっとトンビだったのだと思う。
子どもながらに退屈な絵だと思った。
自分なら夕陽が沈む瞬間とか朝陽が昇りだした瞬間とかを鮮やかな色で描きあげるのに、と思ったりした。
今も思うけど、色気もないし、殺風景だし、構図的にもつまらない。
だから、母からその人が画家になることなく結婚して主婦として生活していると聞いた時は「だろうね」て言いそうになった(私、失礼だねm(__)m。)。
そんな何でもない油絵なのに、私が実家を思い出す時や茅ヶ崎のことを考える時に一番最初に思い浮かぶのが、あの油絵だったりする。
全然何でもないのに、ついつい思い出す油絵が、実は私は好きなのかもしれない。
夢にも出てきたことがある。
・・・絵を描くようになって、最初の目標が“あの油絵よりも上手く描くこと”だった。
“あれ以上を基準にしないと画家にはなれない”みたいに思いこんでいた時期もあった。
そう考えだすと、ぜんぜんたいしたことなかったはずのあの油絵が、すごい位置に立ち上がり、まるで名画みたいに私の脳内に浮かび上がる迷惑な存在になってきた。
実物を見ればすぐにたいしたことがないとわかるはずだけど(・・・失礼だねm(__)m)、残念なことに、私は母と絶縁状態で、母が現在どこに住んでいるのかも知らない。
そんなわけで、昨日のラジオの人とは違った意味で現れるあの油絵に、きっとこの先も私は苦しめられそうな感じがします。。。
(フレームつき。)。
今回は思い出しながら白い絵の具のみで描いてみました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございましたm(__)m。
またね^^