不気味な土地の話をするアタシ。/ただの怖い話。
これは私が小学生の頃に住んでいたある土地のお話です。
私が小さい頃にその土地に住んでいたのは、フジマサさん(仮名)と言われているおじいさんでした。
フジマサさんは第二次大戦中は軍人さんとして活躍していたみたいでした。
ただ、イロイロなことがあったらしく、戦後はその小高い土地に一軒家を建てて、一人で静かに暮らしていました。
幼い私の印象は『背の高いおじいさん』というだけで、話したこともなかったです。
近所のおばさん達からはあんまり評判がよくなかったような気もします。
幼すぎた私にはB級戦犯とか戦争犯罪者とかいうむずかしい言葉の意味が理解できずに、ただ『あのおじいさんは嫌われているんだな』くらいの感覚しかありませんでした。
そのフジマサさんが、年末に亡くなりました。
火事による焼死でした。
『前日の夜に何台かの車がフジマサさんの家の前に止まっていたのを見たわ』とか『家の前に逃げ出してきたのに、自分から家の中に戻っていった』とか『あれは放火よ』とか近所の人たちはイロイロと話していました。
詳しいことはわかりません。
いつの間にか亡くなっていた。
そんな感じでした。
しばらくして、その小高い土地を平らにする工事が始まりました。
土地はすぐに平らになり、その後、そこに三軒の一軒家が並ぶように建てられました。
その工事をしている時に、消防車が夜中にやってきて消火活動をする騒ぎがありました。
ちょうど真ん中にある建てものがぼや騒ぎを起こしたのです。
偶然なのかもしれません。
でも、私のまわりの大人たちは『フジマサさんの呪いだな』て言っていました。
その真ん中の家に引っ越してきたのは、お父さん、お母さん、子どもが二人の四人家族でした。
コイちゃん家族でした。
子どもは男の子と女の子で、女の子のコイちゃんは私と同い年でした。
男の子は四歳くらい年下で、まだ三歳とかでした。
私はすぐにコイちゃんと仲良くなって、毎日一緒に遊ぶようになりました。
でも、理由はわからないんですが、今思い出すと、コイちゃんの家で遊んだことは一度もありませんでした。
たまたまなのかもしれません。
でも、なんか、一度だけ遊ぶ約束をしたんですが、急に遊びたくなくなって行かなかった記憶があります。
結果的にそれで良かったのかもしれません。
コイちゃんの家はあきらかに『何か』ありました。
まず一番最初にかわいそうだなって思ったのが、コイちゃんの弟が亡くなったことでした。
いつから闘病してたのか、いつ発病したのか、ぜんぜんわかりません。
でも、私が五年生くらいの時に白血病で亡くなりました。
たしか、小学校に入学した直後でした。
それでコイちゃんが落ちこんでいたから、友達と一緒に手紙とお菓子をプレゼントして励ましてあげた記憶があります。
それで終わりなら、偶然かな?て思うのですが、まだつづきました。
私が中学の時に、コイちゃんのお母さんが亡くなったんです。
まだ三十代のお母さんでした。
私は別の中学に行ってたんですが『コイちゃんのお母さんがくも膜下出血で亡くなったから、制服来てお通夜に行こうよ』と友達から連絡があって行った記憶があります。
コイちゃんが引っ越してきたのは七歳くらいでした。
つまり、引っ越してきて約五年で家族が二人も亡くなったんです。
偶然かもしれません。
でも、フジマサさんからの流れを見てきた私としては、偶然以上のものを感じて仕方ありませんでした。
『悪いことは知らないほうがいいのよ‼』
私が幼い頃に、コイちゃんの家が工事中に燃えそうになったとコイちゃんに話したら、お母さんから後でそう言われて怒られました。
どう思いますか?
私は知りたいし、知ってたら引っ越すような気がします。
ちなみに、コイちゃんは今、看護師になるために頑張って勉強しているそうです。
お母さんや弟さんが病気で亡くなっているので、病で苦しむ人の手助けがしたいと思ったのかもしれません。
今まで不幸な偶然が重なったのだから、これからは幸運な偶然が重なれば良いな、て思っています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございましたm(__)m
またね。