肉おばさんと研究室。
※閲覧注意のお話です。暗い話が苦手な人は読まないでください。
前回の『お父さんと真っ白な世界・・・。』のつづきになります。
役場(役所)からどれくらい離れていたのか、眠っていた私にはわからない。
『着いたぞ』
の
お父さんの声でアタシが見たのは、木造で二階建ての建物だった。
すごい古そうな建物だ。
車から降りて向かった大きな玄関の横に大きな木の表札があって
『※※研究室』
て
書かれていた。
『研究所』ではなく、ホントに『研究室』て書いてあった。
それが、すごい不思議に思ったから、今でも、よく覚えている。
しかも、表札が『研究室』になっているのに、そこは宿舎として使われていたし、昔は旅館だったと肉おばさんに、あとから言われて、よくわかんなくなった。
玄関の出入口もレストランみたいに二重になっていて、一回玄関とおってから、もう一回玄関をとおる意味不明な構造になっていて、子どもだった私は、頭の悪い構造だな、て思っていた(だいぶあとになって、豪雪地帯では室内の温度を保つために二重扉になっているのを知って、そういうことだったのだと気づいた)。
玄関を抜けてすぐに大きなストーブとテーブルセットが置かれた部屋になっていて、そこに小柄なおじさんとおばさんがいた。
おじさんとおばさんは、なんか、よくわかんないけど、顔がすごく似ていたから、最初、兄妹かと思ったけど、ちがくて夫婦だと言われた。
しかも、おじさんとおばさんだと思ったけど、それもちがってて、二人とも八十ちかいおじいちゃんとおばあちゃんだった。
でも、外見的にはおじさんとおばさんだったから『おじさんとおばさん』て呼ぶことにした。
二人とも、なんか、まん丸な体型していたけど太っているような感じではなかった。
なんか、体とか鍛えてる感じがしたし、肌とかツルツルしていて、八十ちかいって話していたけど、髪の毛とかフサフサでほとんど黒かった。
でも、髪がおんなじように黒くても、日本人のアタシたちとはやっぱり顔立ちがちがくて、なんか、キツい感じがして、この地域に昔いた原住民のハーフ(?)なのかもしれないと思った。
『ご飯は?』
て
おばさんに聞かれたお父さんが『食べてきました』て言ったのに、フツーに『用意してありますよ』て言って、食堂に案内された・・・。
食堂の入り口の上の所に黒い表札があって、白文字で『食堂』て書かれていた(この表札とかを、アタシはお父さんのカメラを使って、けっこうパシャパシャ撮っていて、じつは実家にぜったい残っているはずだから、今度探して載せようと思っています)。
なんか、よくわかんないけど、広くて変な匂いがする食堂には長いテーブルがあって、なんか、食器とかイロイロ準備してあった。
何を食べたかまったく覚えていないけど、出された料理をほとんど残して、お父さんと二人で謝った記憶がある。
たしか、たくさん肉料理がでてきた気がする。
そこのおばさんが、すごいお肉が好きみたいで、よくわかんないけど、お世話になっていたあいだ、ずっとお肉料理ばっかり出された記憶がある。
それで、じっさいには『おばさん』て呼んでたけど、心の中で『肉おばさん』て呼んでた(でも、時々まちがえて『肉おばさん、こっち来て』とかフツーに言ってたけど)。
なんか、ちょっと肉おばさんたちと話したあと、私とお父さんは二人で二階の部屋に向かった。
部屋に入って二人きりになってから、お父さんがイロイロな話をはじめた。
外はあいかわらず雪が降っていて、窓から見える外灯はさびしそうにみえた。
・・・お父さんの話しは不思議で意味不明な話しだった。
つづく。