今度はちゃんと謝るよ・・・。
・・・これはウソのお話です。だから、気にしないでください。
ずいぶんまえからそこにいたのに、まったく気づかなかったよ。
昨日、お母さんから、あんたのことを聞いたよ。
すごいビックリした・・・。
幼稚園、おんなじだったよね。
いつも二人で走り回って、よく怒られたよね。
この前・・・って言っても一年くらいまえだけど、私とあんたの足跡見つけたよ。
覚えてる?
幼稚園の頃、チカのお店の前で工事やってた時に、二人で塗り立ての地面をふんで、足跡作ったよね?
チカのお店はとっくの昔に閉店したし、チカも関西のほうに引っ越したよ。
でも、お店はそのまま空き家になっているし、アタシとあんたの足跡も、そのまんま残っていたよ。
小学生くらいまでは、ケンカもしたけど仲良くやってたよね?
私は、性格がけっこうキツいから、言いすぎた(?)かもしれない。
それに、ぜんぜん謝らなかったね。
それは、ごめん・・・。
中学になってからは、ほとんど遊ばなくなっちゃったね。
キライになったからじゃないよ?
私もイロイロあって、ほとんど学校休んでいたじゃん?
だから、たまに学校行って、あんたが一人でいたのは気づいていたけど、大変なことになっているなんて、知らなかったし。
たしか『死にたいよ』とか、言ってたから『はやく勇気だしな?』て応援しちゃっていたね・・・。
あれで勇気をだしたの?
ちがうよね?
・・・高校は別々だったし、私は自分のことで精いっぱいだったから、あんたのことなんて昨日まで忘れていたよ。
だから、あんたがあのマンションの前の花束になっているなんて、知らなかったよ。
何があったのか、よくわかんないけど、あの花束があんただったから、すごいビックリしたよ。
もう、体もないし、名前もないのかもしれない。
でも、私はまだ覚えているし、二人の足跡は今もあのままだから。
あの足跡を見るたびに、私は思い出すよ。
とりあえず、もう少しだけ、天国で待っててね?
今度あったら、ちゃんと謝るよ。
『今回だけは、アタシが悪かったよ。ごめんね』て。